小さな交通事故も油断できません!けがはなくとも精神的苦痛の恐ろしさ!

交通事故が起こったとき、「けがはなかった?」「けがしてないなら安心だね」というように、身体的なけがについて心配されることは多くあります。しかし実際に交通事故によって生じるダメージは身体的なものに限りません。

身体的なけがはなかったとしても、精神的苦痛を強く感じている場合も多くあります。そこで、交通事故によって生じる精神的苦痛についてまとめていきます。参考>交通事故 弁護士:アディーレ法律事務所

精神的苦痛による二つの障害

事故によって生じる精神的苦痛、つまりトラウマ体験によって生じる障害は大まかに二種類にわけることができます。一つは心的外傷後ストレス障害(PTSD)と呼ばれるもの、もう一つは急性ストレス障害(ASD)です。

簡単に分けると、交通事故が起こって1ヶ月以内の場合は急性ストレス障害、一ヶ月経過しても症状か続いている場合や一ヶ月以上経過した時に症状が出てきた場合が心的外傷後ストレス障害になります。

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精神的苦痛は誰にも生じます

事故というトラウマ体験によって生じる二つの障害は、一部の人だけに生じる特別なものだと思われることがしばしばあります。しかし実際は誰もがなる可能性を持っています。事故が起きたときに怖いと感じる、何らかの心の反応が生じることは普通のことです。

その反応が顕著に出るか、どのくらい長い期間続くかというだけの違いです。そのため事故の大きさや、事故にあったのが誰かということに関係なく、誰にもトラウマ反応が生じうることを覚えておくことは大切になります。

主な五つの症状

二つの障害で見られる症状は、侵入症状、回避症状、認知や感情の陰性への変化、過覚醒、その他の反応という五つに分かれます。これらの症状があるために今まで通りの生活ができない、大きく妨げられる場合に診断がつきます。

逆に、これらの症状を持っているが、高い適応力を活かしてなんとか生活をしているという方も多くいます。それでは、この五つの症状について説明していきましょう。

侵入症状ーフラッシュバックの恐ろしさ

まず侵入症状について説明します。怖い体験をした日の夜、その体験を思い出してしまって眠れなかったということは、多くの方が経験したことがあるかもしれません。この侵入症状とは、そのような怖い体験を思い出すということをより強くしたものとイメージするとわかりやすいです。

通常、怖い体験を思い出したとしても、あくまでもテレビのスクリーンを通して観るような感覚、つまり過去の体験だからもう起こることはないというような考えがどこかにあります。しかし侵入症状では、言葉にならない身体的な生々しくて恐ろしい体験というように説明されます。

テレビのスクリーンで観るような感覚ではなく、事故があたかも今起きているというように身体も心も体験するような生々しいものです。別名ではフラッシュバックと呼ばれることもあります。このフラッシュバックは、街で車を見る、事故現場に近づくというような、その時の事故に関連した刺激に遭遇した時に起きやすいです。

ただし、このような刺激に関係なく、急にフラッシュバックが起こってしまうこともあります。

回避症状ーひきこもりや孤立に繋がる可能性

次は回避症状です。怖いことを避けたい、起こらないようにしたいというのは人間の自然な気持ちです。しかし過度に回避を行うと、生活に大きな支障が出てきます。例えば車を見るとフラッシュバックをするという方は、車を見ないようにします。

つまり家から出ないようになる、出られなくなるということに繋がる可能性があります。そこまで重症化せずとも、運転ができない、助手席に乗れないということで、車に乗らずに電車や自転車だけで生活するようになるというようなことも起きます。

認知や感情の陰性への変化ー失われる安心感

次の認知や感情の陰性への変化は、事故体験者の生活の質(QOL)を大きく下げる可能性があります。例えば、事故で身体の麻痺が起こってしまった場合、自分には生きる価値がないからこのような事故に遭ってしまったのだと自分を責めてしまうことがあります。

例え本人には全く過失がなかったとしてもです。そして外の世界はいつ事故に巻き込まれるかわからない、むしろ皆が自分をけがさせようとしているかもしれないというようなネガティブな考え方に支配されるようになります。

そうなると、自分のことも、あるいは他者のことも好きになれないというような事態になることがあります。

過覚醒ー気持ちが落ち着かない状態

過覚醒も厄介な問題です。人は危険を感じた時に脳は覚醒状態になります。心臓がバクバクしたり、怒ったり、気持ちが高揚したりします。このような状態を闘争ー逃走状態といいます。これは、キリンがライオンに囲まれて、闘うか逃げるかしかない、そのためそのどちらもすぐにできるようにスイッチをオンにしているような状態です。

このような覚醒状態は緊急事態という短い時間だから通常問題はありません。しかしトラウマ体験後にこのスイッチのオンオフがうまく行かず、常にスイッチの入った状態になることがあります。その状態になると、常にイライラする、怒りやすくなる、何かに集中するのが難しくなる、過度に警戒してしまう、そして睡眠困難になってしまいます。

その他の症状ー心と感情の解離、感情の麻痺

最後に、その他に起こる症状についてです。まず解離・麻痺というような症状がよく見られます。これは心と感情が解離することを指し、感情の動きが感じられなくなります。今までだったら楽しいと感じていたことでも楽しいという感覚が全く得られなくなるし、怖い体験があったとしても怖さを感じなくなるというような症状です。

つまり、事故という感情に大きなダメージを与えるトラウマを乗り越えるために、感情を凍らせたというような表現がわかりやすいです。

交通事故のあとにトラウマ反応が見られた時の対応

これまで説明してきたような状態が交通事故の後すぐ、もしくは数カ月や数年後に起こった時は早めに専門機関に相談すべきです。

早期の治療が行われれば治療期間も仕事復帰までの期間も短くなりますが、治療が遅れた場合は治療期間が長くなるだけではなく、生活の質が落ちる可能性があるとされているからです。仕事ができなくなるというだけではなく、引きこもるようになる、友人と距離を取るようになって次第に孤立していくというような場合もあります。

従って交通事故が起こったときには、身体的なけががあるかどうかではなくて、心の傷を負っていないかということも長期的に見ていくことが大切です。小さい事故だから心の傷が生じることはないはずだという見方ではなく、事故体験者はどう感じただろうかというような視点で捉えていくことが、事故体験者にとって大きな支えにもなります。

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